―その1:演劇公演における「チラシ」とは?― に戻る
―その2:少女単体と「Next」とのやりとり― に戻る
―その3:組織とは、個人の集まり―
その後、電話のやりとりの後、どうなったのか。続きを書きます。
「その2」で書いたの電話の間では、結局、Nextは「折り込み拒否」の姿勢を曲げなかったため、私は「表現の自由」というものについてをよく訴えた上で、せめてこちらを納得させる材料として、「なぜNextが恋人が障害者のチラシを"不快に感じる"という結論に至ったのか、その"不快"という印象の理由を具体的に、結論に至った社員の発言を理由の根拠として、文書にして提出して欲しい」という要求を残し、一旦、電話を切りました。
仕事中ということもあり、長話もできなかったので。
ちなみに、この要求に対し、郡山氏は、初め、「社員の個人名を伏せるのなら、文書で出せますけど」とおっしゃったのですが、私は、これを断固拒否。
そんな証拠にもならない、信用できないものは要らない、後で、誰が言った言わないというトラブルの原因になるから、ちゃんと社員の個人名を出した上で提出して欲しい、と伝えました。
そうしたら、郡山氏は、それを飲みました。
後で、その提出された文書を公開しますので、ご覧下さい。
さて、午前中に最初の電話があった日と同じ日の夕方、19時頃だったと思いますが、再度、郡山氏から電話がありました。
内容は、「苅谷さんの言い分を踏まえた上で、もう一度会議を行った結果、やはり、こちらの判断だけで折り込みを拒否するのは違うのでは、という結論に変わりました。つきましては、折り込みをする主催者側と劇場に、少女単体のチラシを事前に確認してもらい、折り込みの許可が出た団体には折り込みをする、という形にさせて頂きたいのですが」とのことでした。
その際、郡山氏は、「公序良俗に反する恐れのあるチラシなのですが、折り込みさせていただけますか、と、先方に聞くような形になりますが、よろしいですか」とおっしゃいました。
ですが、そんな聞き方をして、「はい、いいですよ」という団体がどこにいるのだ・・・なぜもっと、先入観なく訊ねることができないのだろうか・・・と思いました。それは言いませんでしたが。
私は、「それでOKです。ご配慮ありがとうございます」と伝え、あとは、単純に、どの劇団がうちのチラシをNGとして、どの劇団がOKを出すのか、それがとても興味深かったので、その連絡を待つことにしました。
一業者のNextは「危ない」って言ってるぜ、さぁ、表現者のお前らはどうなんだ!?という、そっちの方が断然気になるところ。結果はどうであれ、各劇団&劇場の反応が知りたいと思いました。
また、この時の電話で、私は、郡山氏に対し、「あなたは不快だ不快だと連呼していますが、一生懸命創った物を、一業者の独断で、頭ごなしに不快呼ばわりされる、こっちの方がよっぽど不快です」と伝えたところ、郡山氏はまたしても、「あ、そうですか」と余裕を噛ました口調で、軽く言いました。
それが、またも、私を不愉快な気分にさせました。
私は、これまで、Nextに対して、車が買えるくらいのお金を払って、チラシを委託してきたのですが・・・。この人、何もわかってないんだろうな。
小劇団が、それだけの大金を払ってプロモーションをするということが、どうゆうことか。この人は、そんなことは考えもしないのだろうな、と思いました。
悔しさと情けなさが込み上げてきて、今まで、Nextという業者を利用していたこと、それを、すごく後悔した瞬間でした。
電話の後の方になって、私の話すテンションから、ハッと気付いたのか、郡山氏は、「不快な思いをさせてしまい、すみませんでした」と謝ってきましたが、後で気付いているようでは、遅すぎます。
それが企業の代表者か・・・と、ため息が出ます。
余談ですが、Nextに委託したチラシは、「膣」と「ロミオとジュリエット」の二つなのですが、「少女単体」、こちらのチラシは、Nextを利用しないで、自分で折り込みに行っていました。
当時、私は、上京したばかりだったので、東京の演劇事情にも詳しくなく、Nextという業者があることすら知りませんでした。
ちょうど、「少女単体」のチラシを折り込みに行っている最中に、Nextの存在を知ったのでした。
実は、Nextに委託していないチラシの公演、「少女単体」が、今までで一番、集客率がよかったのです。もちろん、時期など他の要素もあると思いますが。
第2回公演の「少女単体」こそ、まさにチラシの力だけで集客を計れた成功例だと思っています。
そういったことから、今回の件を通して、別にNextに頼らなくともいいのではないか、という、根本的な考えを見直すことができました。
さて、本題に戻ります。
その後、郡山氏より、各主催者の「折り込みOKかNGか」の連絡が、メールで届きました。
電話をしてから、約一週間後です。
そして、メールと共に、Nextが提出した「恋人が障害者」のチラシへの社員アンケートが、テキストファイルとして添付されていました。
まず、そのメールの内容を、中略部分と、各主催者及び劇場の固有名詞を伏せる以外は、原文のままに、以下に公開します。
なお、中略部分は、事務的な内容により、公開する価値がないと判断し、中略とします。
固有名詞は、アルファベットのA,B,・・・に変えさせて頂きます。
2006年10月2日 Next 郡山氏からのメール
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少女単体
苅谷文 様
いつもお世話になっております。Nextの郡山です。
先日はお電話にてたいへん失礼いたしました。
さて、お申し込みいただいた各公演主催者様及び劇場様に対し現在折り込みの可否を確認中です。
まだすべての方からお返事をいただけていないのですが、
折り込み先の振り替えなどもあるかと思いますので取り急ぎ10/2現在の状況をご報告いたします。
●A・・・・・・・・・・・不可 理由:「年配のご婦人が半分を占める劇場なので客層に合わない」(A)
●B・・・・・・・・・・・・・・・・不可 理由:「劇場からNGがでた。提携公演なので劇場の意思を尊重したい」(B)
●C・・・・・不可 理由:「ジャンル的にあまりに違うのではないかと思われるため」(C)
●D・・・・・・・・・・・・不可 理由:「表現が過激なため、この演目には合わないと考える」(D)
●E・・・不可 理由:「作風に合わないので」(E)
●F・・・可
●G・・・・・・・確認中 主催者側はOK。劇場からの返事待ち。
●H・・・・・・・・・・・・確認中 連絡待ち
●I・・・・・・確認中 劇場はOK。主催者からの返事待ち。
以上です。
折り込みの許可をいただけなかったものについてはお申し込みをキャンセルさせていただきました。
(〜中略〜)
また、先日お約束した今回のチラシに対するNextスタッフの感想をまとめたものを添付します。
少し読みにくいかもしれませんが、それぞれの意見を全文そのままコピーしました。
ただし、あくまでもこれらはNextスタッフの個人的な見解であることをご了承ください。
Nextの統一見解は、
「その内容やデザインが配布先公演(劇場)の演出やコンセプトなどにそぐわない恐れがあると判断されたチラシは、
公演主催者及び劇場主に対してあらかじめ折り込みの許可を申請しなければならない」
ということです。
この度は、ご希望に沿うことが出来ず、また私の説明不足から不愉快なお気持ちにさせてしまい本当に申し訳ありません。
重ねてお詫び申し上げます。
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後に、上記の「G」は、劇場側がNGで不可となり、「I」は主宰者NGで不可との連絡がきました。
というわけで、結局、問題なく許可が下りたのは、「F」だけだったのですが、この「F」という劇団、実は前々から、私が大好きな劇団で、すごく面白い芝居をやっている劇団なのです。
やっている演劇の内容は、少女単体とは全然違って、上質のお芝居をみせてくれる劇団です。役者も、抜群に上手いです。
その自分の好きな劇団から拒否されなくて、安心しました。ここで固有名詞を出すことで、微力ながら宣伝でもさせてもらえればと思うところですが、ご迷惑がかかるといけないので、伏せます。
しかし、「F」は、わかってる!!!!!「F」、あいしてるよーーーー!!!!!!
しかし、今回のこの対応、あまりにも不当、と思うのは私だけでしょうか。
チラシにおいて、過激と思われる表現を用いているのは、少女単体だけですか?そうではないはず。
事実、後で公開する、Nextの社員が出したアンケートの中に、社員自身が、「他にも不快なチラシはありますが」と、他の団体のチラシにおいても、そのようなことが見受けられることを認める発言をしています。
そうであるのに、少女単体にだけ、このような特別な処置を持って、折込ができるか否かの許可を公演先に訊ねるというのは、いかがなものでしょう?
当方にこういった対応をするのであれば、同じように、引き受けるチラシすべてを審議にかけるべきではないでしょうか。
実際、Nextの扱っていたチラシの中に、私の個人的な見解で、「このチラシ、やだな」と感じるものは、ありました。
随分前なので、どこの劇団のものだったかは覚えていませんが、「殺す」というキャッチコピーを堂々とチラシに掲げているものでした。
(言葉が嫌だったのではなくて、確か、デザインとの統一感が嫌だと感じたように思います。)
確かに、Nextが扱う折り込みセットの中に挟まっていた事を覚えています。
こういったチラシは、そちらの言う、「公序良俗」には反しないんですか、Nextさん。
それに、少女単体に限らず、「このチラシを拒否したい」と主催者が思うチラシは、主催者側がはっきりと確認していないだけで、探せば他にも出てくるはずではないでしょうか。
また、上記のメールにある、各劇団が出したコメントで、「作風に合わない」とか「ジャンルが違う」とか「客層に合わない」という理由がありますが、では、こうゆう劇団・カンパニーの人たちは、自分たちの作風、客層、ジャンルと同じ公演先にしか、自身のチラシの折り込みを行っていないのでしょうか。
そして、その劇団の公演で折り込みを受け付けたチラシは、すべてが自分の劇団と、趣向が同じものだと言えるのでしょうか。
加えて、「ジャンル、作風、客層が同じ、または似ている」と、いうことを、何の根拠をもって、どの部分で明確に判断しているのでしょうか。
チラシの折込をする、される側の両者が、すべて趣向も作風もジャンル一致している、そんなことは、ジャンルや創作手法が様々に入り乱れる現代の演劇という文化においては、あり得ません。
明らかに、不明瞭な理由です。
そして、私はこのようなNextの対応によって、不公平な扱いを受けたと捕らえざるを得ません。
また、今回、上記のような理由を書いて出した表現者に対しても、ジャンルや、作風というものが、自分と似たりよったりな団体としか付き合いをしないその姿勢に、表現の狭さと、創作という未知の文化に対する許容のなさを感じます。
それならば、最初から、多数の劇団からのチラシ折り込みを受け付けなければいい。
少女単体のチラシは、今回の「恋人が障害者」のチラシも、今までのものも同様、「送料出すから送って!」という遠方の人や、「どうしても欲しいんだけど、どこ行けば手に入りますか」という問い合わせをてくれる人が、毎回必ずいるのです。
そして、そういってくれる人は、一人や二人でありません。
私は、毎回、そう言ってもらえる人が出てくるくらいのチラシを、力を入れて創っています。
今回の「恋人が障害者」のチラシに至っては、どこまでが公に表現できる境界線かを、吟味した上で制作しています。
それを、何の法の知識もない一業者に、「公序良俗に反する」と決定付けられる筋合いは、ない。断言します。
(何の法知識もない、と断言したのには、根拠がありますので、こちらの、私と郡山氏とのメールのやりとりをご覧下さい。)
そして、そうゆう言葉を軽く言えてしまう、Next代表の郡山氏、そして、Nextという企業自体を、私は認めません。
試しに、少女単体以外で、そこまで宣伝美術に力を入れている劇団を、他に挙げてみて欲しい。
また、今回の件を通して、少女単体は、「Next」とは、今後一切、チラシの委託及び、取り引きを結ばない、という意思を固めました。
代表者である、郡山氏の言動、そして、次に公開する社員アンケートを読み、その了見の狭さに辟易したので、このような会社に、今後、びた一文払いたくはないと思ったからです。
そのような私の考えを踏まえた上で、Nextが提出した、「恋人が障害者」のチラシへの社員アンケートの全文を、次のページにに公開させて頂きます。
郡山氏は、これを、「Nextスタッフの個人的な見解」としていますが、その個人的な見解のもとに、会社の統一した方針がまとまるわけです。
「組織」というのは、個人の集まりであり、個人なしではあり得ません。よって、ただの「個人的な見解」では済まされません。
社長のワンマン会社なら、話は別ですが、Nextは、そうではありません。
郡山氏の、これを「個人的な見解です」と位置付けしてしまうところにも、甘えと、意識の低さを感じます。
では、次のページでは、Next社員の「個人的な」意見のアンケートに対して、私も、実に「個人的」に意見を述べさせていただくことにします。
「これは、苅谷個人が勝手に言ってることだから、少女単体の統一した見解ではないのよ」、なんて、通用しないでしょう。
ましてや企業。そんな無責任な企業があるのでしょうか。
あと、社員が20名いるとおっしゃっていましたが、アンケートに答えている社員は、数名しかいません。
見栄なのかもしれませんが、「20人居る社員全員で夜まで会議した」という、アレは嘘だったのでしょうか。
こうゆう事態において、全員からのコメントの協力を得られない、それが、社長としての力量です。
もし、「君と君だけ答えればいいから」ということであったのならば、こちらへ対する態度のなさ、それを痛感します。
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NEW!!※参考までに、この問題をウェブで公開するにあたり、私と郡山氏の間で行われたメールのやりとりを公開しておきます。
公開する必要のないと思われる、事務的な文章を除いては、原文のままに公開します。(こちらをクリック!)