―お知らせ―

2006年をもちまして、少女単体は演劇をやめます。

2004年のデビュー公演から今までの約3年間、演劇のジャンル内で活動してきた少女単体ですが、2006年をもって、演劇というジャンルからは席を外すことになりました。
ですが、演劇を離れるというだけで、少女単体自体は、これからもどんどん続きますので、引き続きヨロシクお願いします。

演劇から離れようと思った理由は、チラシ折り込み代行業者、「Next」と縁を切ったことが一番の理由です。
少女単体は、今まで、9割のお客さんを、チラシによる宣伝で動員してきました。
少女単体にとっての一番の宣伝媒体は、自分で創ったチラシでした。
そして、そのチラシの有効な使い道は、やはり、人気のある(観客動員数の高い)劇団の公演への折り込みです。
観客動員数の低い劇団に折り込みをしても、ほとんど効果は得られません。
その理由は、そうゆう小さな劇団の客というのは、ほとんどが役者の友達や知り合いで、付き合いで観に来ているだけの人なので、その公演を観たくて足を運んだ、いわゆる「一般客」ではないからです。
そうゆう客層へ宣伝をしても、無駄です。チラシは、一般客の入る公演に折り込むしか効果は得られません。
それは、実体験と、数字から、確信しています。
ですが、その、「人気のある劇団へのチラシ折り込み」は、東京の演劇業界では、ほとんどが「Next」という折り込み代行業者を通さなければ、折り込みさせてもらえないという現状があります。
少女単体も、今まで、この業者を利用してきました。
ですが、「恋人が障害者」のチラシ問題を機に、今後、この業者を使わないということを決めました。

では、次回公演をするにあたって、どのように宣伝したらよいのか。
他人にみせるための公演。当たり前ですが、客が入らなければ意味がありません。
今まで通り、力作なチラシを作ったとしても、Nextを通さないで、それを効果的に広くに配布するのは、現在の演劇のジャンルにおいては難しいし、小さな劇団への折込は、効果が得られない。
結論として、チラシを広く配布できない=折り込み業者を使えない、のなら、チラシは作る意味がないということです。
一例として、先日の公演、「恋人が障害者」のチラシは、Nextから取り扱い拒否されたため、私はこのチラシを、手折り込みができる公演に、片っ端から折り込みに回ったのですが、結果的に、大した効果は得られませんでした。そして、チラシも、約5,000枚余ってしまうという、少女単体史上初の最悪の結果になってしまいました。(いつもは、チラシが足りなくなるという状態だったのに。
ご存知の通り、少女単体にはスタッフが私しかおりませんので、折り込みに行けるところも日時や条件が限られてきます。
また、一人でそれを負担するのは、相当な労力と時間の束縛がかかります。
「恋人が障害者」においては、結局、一人で約3万枚のチラシを折り込みましたが、それにかけた労力以上の効果は得られず、「恋人が障害者」の観客動員数は、今までの3分の一以下と、最低な記録となってしまいました。
(※第2回公演「少女単体」のチラシは、Nextに委託しておらず、手折り込みだけで宣伝効果を得ましたが、当時は、スタッフを手伝ってくれる人が数名いたので、それで、なんとか大きな公演にもチラシを折り込む事ができていたという裏付けがあります。大きな公演の場合の折り込みは、だいたいスタッフが各2名必要となるのです。「恋人が障害者」は、本当に手伝ってもらえるスタッフがいなかったため、必然的に、私が一人で折り込みに行ける小さな団体のみとなりました。)
このように、「恋人が障害者」においては、折り込みに費やした多大な時間や労力に対する成果が得られず、そんなことに、大事な創作時間を奪われてしまったというのが、とても苦痛でなりませんでした。
折り込みなんかしている暇があったら、創作する時間に使いたい!というのが本音でした。
今までは、Nextにチラシを委託していたので、折り込みに手間はかからず、その分、創作やその他の制作に時間を使えたのですが・・・、今回のような状況下で公演の創作を進めるのは、想像した以上に大変なものでした。
本職である仕事を休み、寝る時間を削ってやるしかなく、人間の体ですから、当然、体調も崩れていき、結果、創作に集中できないという悪循環を招いていました。
当時は、逆にそれを利用して、ブログなどで、自分が苦労している様をアピールして、それを宣伝に繋げようとしましたが、実を言えば、そういった苦労をするのも、それを見せるのも、私の本意ではなく、本当は、もっと余裕をもって創作に集中できる時間を作ること、中身をよくする努力のために時間を使うことの方が大事で、それを最優先に動きたいという気持ちでした。。
今後、公演にあたり、同じようなことが続くのなら、それは嫌です。
あと、そもそも、演劇の折り込みシステムへの疑問があるという理由も重なっています。
 (※↑詳しくは、過去にブログに書きましたので、ご参照下さい■劇団の「折り込み」システムに、もう、何の期待もしない('06/12/7) ■「恋人が障害者」のチラシは、なぜ拒否されるのか('06/12/5) )
そんな訳で、今後、チラシを創ることが無駄になるのなら、やめるしかありません。
無駄なお金を使うくらいなら、もっと入場料を安くしたいし、公演の中身にかける費用に回したいと思うわけです。
ただ、チラシは作品だと思って創っていたので、制作するのは楽しいものでした。
今後創れなくなると思うと、とても残念です・・・。

では、今後、チラシを作らないとなると、どうやって公演の宣伝をしていくべきか・・・
私はマスコミが嫌いだし、コネもないので、メディアでの宣伝は考えにくい。
やはり、自分の創った作品である、チラシというものを見て、お客さんに来て欲しい・・・それがベストなのですが・・・(特に、うちは、チラシの段階から既に公演が始まっているというつもりでチラシを創っていたし)。
だけど、今後は、もう作らない。
となると、そもそも、少女単体が、演劇のジャンルにカテゴライズされている必要があるのかどうか・・・という疑問が湧いてきます。
客から、「こんなもん演劇じゃない!」と散々言われても、演劇のジャンルに留まっていたのは、それしか他に選べるジャンルがなかったからです。
演劇というジャンルで公演していたからこそ、他劇団へのチラシ折り込みによる宣伝ができたわけだし、「チケットぴあ」でも、演劇というジャンルでチケットの取り扱いをしてもらえたわけです。
私にとって、ジャンルというものは、ただの「宣伝の枠」でしかありません。
どのジャンル内で宣伝をし、どのジャンルの取り扱いでチケットを売るのか。
それは、自分で決めるのではなく、規制のジャンルから選ぶしかありません。
少女単体の場合は、演劇というジャンルが一番適当だったので、それを選んだというわけです。
でも、今後、チラシを作らないことになれば、他劇団への折り込みもなくなる。
そして、前々から思っていたことで、「チケットぴあ」での購入方法が、ユーザーにとって不便なのではないかという疑問があり、チケットの売り方というものも見直そうと考えていた。
そんな理由が重なったことにより、今後、少女単体は、演劇というジャンルに居る意味があまりないのでは、と考えたわけです。

また、演劇のジャンルで宣伝しているので、客層は当然、観劇を趣味にした人に偏ります。
演劇のお客さんは、思いのほか、「演劇はこうであるべき」という先入観の強い人が多く、まず演劇という固定概念を持って内容を観るため、「中身そのもの」を素直に観れる人が本当に少ないように感じました。
私は、創作や表現は自由だと思っていますので、ジャンルなどに公演の内容を縛られる必要はないと考えています。
ましてや、演劇。
音楽のライブであれば、話は別かもしれませんが、演劇という、基準がつけられない文化において、ジャンルがどうのと言うのは、くだらないと思うのです。
「ジャンル,ジャンル」と言う奴は、一生言ってろ、と。
少女単体の公演では、演劇だからどうとか、そんなことには捕われず、その時々で、良いと思うものをやってきたつもりです。
そんな中、「ジャンル,ジャンル」と言われると、正直、ガッカリするというのが本音です。
少女単体をやり始めの当初は、まだそれでよかったし、後述しますが、逆にそれが面白い要素となっていたのですが、今は、もう、そうゆう人をいちいち相手にしたくないという思いの方が強くなってきました。
嫌だ嫌だといいながら、何も自分がその席にいる必要はないではないか、と。それなら、自分が席を立って外へ行けばいいだけだな、と。
前述した、「面白い要素」ですが、これは、少女単体の初期の公演においては、この「ジャンル,ジャンル」な要素が、逆に面白い要素となっていたということです。
固定概念の強い客と、自分の発信するものの間での、そもそもの出発点における齟齬、それこそが、公演の特徴になっていたという事実は否めません。(特に、第2回公演「少女単体」、第3回公演「膣」は、それが顕著に現れています。)
その齟齬により、不協和音が生まれ、それが公演の内容と絶妙に絡み合って、面白い空間を創り出していたと思います。
私自身も、出演者としてその空間を楽しみましたし、他の舞台や演劇公演では味わえないものが、そこにはありました。
ですが、それは、その時、その瞬間に生まれたものだったからこそ、新鮮だったわけで、また同じ要素を望んでそれを続けるのは、ただの妥協に過ぎません。
今後、それを期待して公演をしても、客も慣れてしまうし、私も飽きてしまいます。
そういった創作姿勢への甘えを事前に防ぎたいという気持ちから、演劇の客層へ向けて何かを発信するのは、もう終わりにしたい、という思いもありました。
そうゆう二つの思いが重なったということです。

上記した諸々の理由から、今後、少女単体は、演劇のジャンル以外で活動していく、ということに決めました。
暫くは、何の枠にも捕われずにやっていこうと思っています。
自ら「これは演劇です」とか、「これは美術です」とか言う必要はないのでは、と思っいるので、ジャンルは特に定めません。
今まで通り、これがイイと思ったものをやるだけです。
演劇のジャンルを離れたからといって、急にガラっと何かを変えるとか、そうゆうことではないので、誤解しないでね。
単に、チラシ作らなくなって、ぴあでチケット売らなくなって、演劇のサイトで公演情報載せなくなるだけよ。
だけ、って。結構デカイなぁ・・・。
やっぱり、宣伝弱くなるな・・・やめますとは言ったものの・・・さて、どうやってやっていこうかな・・・
まあ、新たな方法を探すしかないけね。
ちょっと、やってみるよ。なんでも、やってみなきゃわからん。
演劇を断って、少女単体がどこまでいけるのか、それを楽しみにやっていこうと思ってる。
まあ、面白がってくれる人は、ついてきてくれると嬉しい。
どーせ、ノンジャンルだ。一からのスタートだと思ってるよ。
一人でも客がいれば、オレはやるし、客がいなくても、オレの創作へ向かう衝動、このわけのわからない力は、自分でも止めることはできんのよ。
自分は、これだけのために生まれてきたと思ってるよ。

とりあえず、来年、2007年は、一年間、毎日チェーホフをやるんで、それ専用のブログは、毎日更新します。
当面、オレの動きはブログで確認してくれ。

そんじゃ、バイバイ、演劇!
もう、二度と戻らねーよ!


2006年12月31日
少女単体
苅谷 文